焼酎は幅広い層から愛飲されています。その種類の多さも楽しめるお酒です。

黒糖焼酎は、サトウキビから作られる黒糖を原料として造られます。
造られる場所は法律で決まっていて、沖縄と鹿児島の間にある奄美諸島(奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島)だけです。
よく、日本のラム酒といわれますが、サトウキビを原料にしているだけということで、造り方としては、ほかの日本の本格焼酎と同じです。
17世紀の初めから、甘みの島々は薩摩藩に支配されていました。
薩摩藩からは焼酎を収めるように命令されていたということですから、すでに焼酎造りがなされていたことがわかります。
19世の中に、薩摩藩士の名越左源太(なごやさげんた)が流されてきましたが、『南島雑話』にサトウキビの搾り汁で造る「留汁焼酎(とめじるしょうちゅう)」の記をがあるそうです。
ただ、黒糖が島民が使うことは許されず、製糖期間中は焼酎造りも禁止されていたといいます。
鯨本あつこ・石原みどり著「あまみの甘み あまみのかおり」より。

黒糖焼酎 / 奄美諸島だけで造られる理由
黒糖焼酎の原料は、サトウキビですが、サトウキビの栽培は17世紀末に、沖縄から伝えられたものです。したがって、沖縄でもサトウキビは栽培されています。
なぜ奄美諸島だけに許されたかというと、1953年にアメリカから返還されて時、すでに黒糖焼酎の製造がおこなわれていて、地元では、「島酒」と呼ばれ、島民に親しまれていました。
しかし、サトウキビから造るので、スピリッツのラム酒と同じ扱いになり、税金が高くなります。
そこで政府の計らいによって、製造に当たっては、米麹を使うという条件で、本格焼酎扱いになり、特例的に税法上の優遇を受けることができるようになりました。
黒糖焼酎 / ラム酒との違い
サトウキビから造られるスピリッツといえば、ラム酒がありますが、
その違いは、ラムはサトウキビの搾り汁から造られるのに対し、黒糖焼酎は黒糖から造られることと、米麹を使うことにあります。
そのため、黒糖の持つさわやかな甘味や香り、すっきりとした口当たりで、女性含め、幅広い層から人気を得ています。
造り方による違い
サトウキビを使うということでラム酒と比較されますが、ラム酒はサトウキビの搾り汁を発酵させる単発酵で、
黒糖焼酎は、本格焼酎と同じように、一次仕込みで米麹を造り、二次仕込みで黒糖を加える並行複発酵です。
二次仕込みに麦を使えば麦焼酎、芋を使えば芋焼酎で、黒糖を使うから黒糖焼酎といわれるので、本格焼酎の一種です。
原料となる黒糖は、ほとんどがコストの面で沖縄産(国の補助金がついている。)のものが使われますが、より安価なボリビアなどの外国産を使う蔵元もあります。
しかし地元にこだわり、地元の水、地元産のサトウキビを使って造る銘柄のものもあります。
奄美黒糖を使った焼酎 奄美夢幻 30度 かめ貯蔵されていて味わい深い焼酎です。
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3年の熟成を経て、さらに樫樽にて半年間貯蔵させました。
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黒糖焼酎の健康効果
黒糖は、ビタミン、ミネラルが豊富で、糖分0%。アルカリ性の健康飲料で、長寿酒ともいわれています。
抗ストレス力を高め、エネルギー代謝をよくします。
また鉄分も多く含まれるので、貧血気味の人におすすめです。
黒糖焼酎にキュウリ
ソムリエの田崎真也著「本格焼酎を愉しむ」に、
キュウリを入れてみると、メロンのような香りになるとあります。
どういう形にして入れるのかは、書いてありませんが、表面積を増やすという意味でスライスして入れてみると、本当にメロンの香りがしてきます。ただ、氷でよく冷やしておかないと、香りが立ちにくくなります。
青臭さもないので、ぜひ、メロン風味を楽しみながら飲んでみてください。
黒糖焼酎と香味野菜
鯨本あつこ・石原みどり著「あまみの甘み あまみのかおり」には、
蔵人さんのおすすめとして、香味野菜を入れて飲むということが書いてありました。
パプリカ、セロリ、青じそ、ショウガなどですが、お湯割りでは野菜の香りが勝ってしまうので、水割りかロックがいいそうです。
著者によれば、黒糖は、料理の隠し味にも使われるので、野菜との相性がいいということです。
いろいろな野菜とペアリングしてみるのも、黒糖焼酎の隠れた楽しみ方です。
黒糖焼酎の使われる麹菌
黒糖焼酎に使われる麹菌は、おもに黄麴菌ですが、黒麴菌を使う銘柄のものもあります。
また、喜界島などサンゴ礁でできたところは硬水で、奄美大島は軟水です。水の違いによって、島ごとの微妙な違いが楽しめます。
硬水は、ミネラル分が多く、麹の発酵を促します。
仕込み水にはいいのですが、割り水も硬水にすると、アルコールの刺激感が出てしまうので、サンゴ礁の島の蔵元では、軟水処理をして使うところが多いようです。
黒糖焼酎 / 銘柄と特徴
個体仕込み「JOUGO(じょうご)」
「個体仕込み」は、黒糖の半分を溶かして入れ、残りは塊のまま入れる方法をいいます。塊が、醪(もろみ)の熱でゆっくり溶けることによって、フルーティーな香りが出てくるそうです。
奄美で一番の名水「ジョウゴ川」の水が湧く所で知られる場所に蔵があります。トロピカルな香りで女性に大人気! 黒糖は奄美大島産。
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音響熟成「れんと」
音楽の振動で、熟成中のお酒がまろやかになります。日本酒にも、音楽を聞かせている酒蔵があります。
なぜ音楽でお酒がまろやかになるのか?
かつて北前船でお酒を運んでいた時、日本海の荒波に揺られて運ばれたお酒がおいしくなるということに気づいといわれています。
音楽は空気の振動ですから、音楽を聞かせれば、同じ結果が得られることになります。
これを植物に応用すると、成育がよくなったり、おいしくなるということで、音楽を流しながら栽培する農家もあるといいます。
ただ、音楽なら何でもいいかというと、そうではなく、ハードロックや激しい音楽では、枯れてしまいうという話しを聞いたことがあります。
ラム風味の黒糖焼酎・奄美のラム酒
原料の黒糖を通常の2倍使用しており、豊かな香りにコクを愉しむことができます。樫樽貯蔵特有のスモーキィな香りはラム酒を思わせます。
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サトウキビのみを原料として3回の蒸留を行い、オーク樽で熟成させた純日本製のゴールドラムです。 |
サトウキビのみを原料とし、3回の蒸留を行い、オーク樽で熟成させた純日本製のゴールド・ラムです。
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5つの蔵のブレンド黒糖焼酎 / 奄美酒類
異なる原酒をブレンドすると、それぞれのいい成分が相乗効果を生み品質がアップします。
徳之島にある5つの蔵元が合同で造る黒糖焼酎の会社が奄美酒類です。
古玄泉は徳之島の泉の名前。北部の天城岳の麓、約1400年前の遣唐使の頃から航海安全の守り神として代々受け継がれてきた神の泉です。
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「奄美2020」は徳之島にある5つの蔵元でつくられた黒麹仕込みの原酒をブレンドして、甕壷で12年熟成させた黒糖焼酎の原酒です。
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地下190mの名水から造る黒糖焼酎
徳之島に地下に、数万年かけて浸透した水で造る黒糖焼酎。
黒糖焼酎仕込みのフレッシュな香りと、スッキリした優しい甘味、女性に喜ばれる梅酒です。
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久米島の海洋深層水で造る沖永良部島の黒糖焼酎
沖永良部島は硬度の高く、割り水には適さないので、近くの久米島から水を取り寄せて使っています。
「はなとり」は、久米島の海洋深層水「球美の水」を汲み上げミネラル成分そのままに塩分を取り除き割り水につかっています。
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リフィル カスクで熟成
木樽で貯蔵する場合、チェリー酒などに使った樽を再利用して貯蔵すると、元々入れられていたお酒の風味も加わって、複層的、複雑な風味を持ったお酒になります。
再利用する樽を、リフィル カスク(再充填樽)といいます。
≪ 南の島の貴婦人;オオゴマダラ蝶~喜界の保護蝶 ≫ をイメージした黒糖焼酎
黒糖焼酎 南の島の貴婦人
モロミを蒸留し始めて最初に垂れてくる部分初垂れ(はなたれ)を44度で仕上げた商品で、華やかな黒糖の香りとまろやかな甘味が特徴です。